ヨーロッパや北米を中心に、建材の安全基準が年々厳しくなるなか、フローリングの安心性を判断する指標として注目されているのが CE 認証と CARB 認証です。竹材フローリングの製造現場では、原料選定、接着剤の配合、加工工程、仕上げ処理など、製品の安全性に直結する要素が数多く存在します。これらの工程を確実に管理し、最終製品として確かな信頼性を提示するため、国際的に認められた認証が重要な役割を果たします。
CE 認証は主に欧州市場向けの規格で、製品が規定された安全性・健康性・環境保護の基準に適合していることを示すものです。一方で CARB 認証はアメリカ・カリフォルニア州大気資源局が制定した規格で、特にホルムアルデヒド排出量に関する厳しい基準で知られています。どちらもフローリングの品質を担保するうえで重要ですが、適用される地域や評価項目が異なるため、両方を満たしている製品は総合的な安全性の高さを示せると言えます。
竹材フローリングは木材とは異なる内部構造や水分特性を持つため、加工工程において精密な管理が必要です。竹を繊維方向に沿ってスライスし、乾燥処理を行い、強度を確保するために再構成する工程では、熱・圧力・含水率のわずかな変化でも仕上がりが大きく左右されます。接着剤の品質も重要で、ホルムアルデヒド排出量を抑えた樹脂を使用しなければ、認証基準を満たすことはできません。CE や CARB の要求に適合させるため、工場では原料ロットの管理、接着剤配合の記録、圧締工程の温度管理、最終製品の揮発性有機化合物(VOC)検査など、多段階の品質保証体制を構築しています。
CE 認証の対象項目には、フローリングの寸法安定性、表面強度、すべり抵抗、防火性能、VOC 排出レベルなどが含まれます。製品ごとに規格へ適合しているかを確認するため、第三者機関によって試験が行われ、基準を満たす場合に CE マークを表示することが許されます。竹材フローリングは密度が高く、一般的な広葉樹フローリングと比較して硬度が高い特徴を持つため、耐摩耗性試験で優れた結果を示すことが多く、欧州市場で高い評価を受けています。
CARB 認証では、特にホルムアルデヒド排出量が厳しく管理されます。竹フローリングの基材には複合構造が採用されることが多く、その際に用いる接着剤の品質が排出量を大きく左右します。製造現場では、接着剤の固形分比率や圧締条件を継続的に確認し、規定値を下回る排出量を維持することが求められます。CARB フェーズ 2 に適合した製品は、アメリカ国内のみならずカナダや一部のアジア市場でも信頼性の指標として扱われています。
二つの認証を取得するためには、工場内部の生産管理だけでなく、サプライチェーン全体での品質管理が不可欠です。原竹の伐採時期、保管期間、加工前の含水率なども製品の安定性に影響します。加工設備や研磨技術、塗装工程の品質も結果を左右するため、製造ラインでは設備の定期点検とプロセスデータの蓄積が継続的に行われています。特に紫外線硬化塗装や耐摩耗層の形成では、均一性と耐久性を確保するため、技術者が細かい条件調整を担当しています。
海外市場での需要が拡大するにつれ、安全性と環境性能を兼ね備えた竹材フローリングの重要性は高まり続けています。住環境に使用される建材は、見た目の良さだけでなく、健康への影響、耐用年数、維持管理のしやすさが重視されます。CE と CARB の二つの認証に適合している製品は、有害物質の排出を抑えつつ、長期間にわたり安定した品質を維持できるという点で、住まいづくりにおける確かな選択肢となります。
竹材は生育が速く、資源として持続性が高い特性を備えています。製材時の廃材量が少なく、環境負荷の低い建材として注目されてきましたが、その良さを最大限発揮するには、安全性を裏付ける確かな品質管理が不可欠です。二つの認証を取得することは、製品の信頼性を示すだけでなく、環境配慮型建材としての価値をさらに高めることにもつながります。
フローリングを選ぶ際、材質や色合いに目が向きがちですが、内部構造や接着剤の品質といった目に見えない部分こそ、住環境の快適性を左右する重要な要素です。CE と CARB の基準を満たしている製品は、そうした見えないリスクを低減し、安心して長く使える住まいづくりに寄与します。竹材フローリングを検討する際、これらの認証表示を確認することで、より安全で信頼できる選択が可能になります。
